トップ 事例を探す 青森県 【事例】青森県弘前市の部活動地域展開 ─ 顧問制度廃止と「地域クラブ・学校クラブ・学校サークル」3区分で進める段階的クラブ化
全種目 👥 10~30万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 青森県

【事例】青森県弘前市の部活動地域展開 ─ 顧問制度廃止と「地域クラブ・学校クラブ・学校サークル」3区分で進める段階的クラブ化

公開:2026.07.26 更新:2026.07.26
この記事でわかること

・弘前市が令和8年度に始める顧問制度廃止と「地域クラブ・学校クラブ・学校サークル」3区分の制度設計
・部活動指導員とクラブコーチの2制度・保護者参画による指導者確保策と移行措置の実際
・「全部移行は難しい」と明言した上で段階目標を刻む現実路線の他自治体への応用ポイント

自治体名 青森県弘前市
人口規模 約15.7万人(令和7年10月1日現在・推計)
中学校数 16校(市立)
運営形態 行政直営(弘前市教育委員会主導)・「地域クラブ/学校クラブ/学校サークル」3区分並立
対象競技 運動系11種目(陸上、軟式野球、サッカー、バスケットボール ほか)・文化系16種目(吹奏楽、合唱、美術 ほか)の計27種目
保護者負担額 調査時点で未公表(受益者負担の在り方は継続検討事項として明記)

取り組みの概要

弘前市は、教員の働き方改革や専門性の限界、少子化による部活動数・スポーツ少年団数の減少を背景に、令和4年11月に検討委員会で改革の方向性を確認し、同年12月には学校・児童生徒・保護者へのアンケートを実施しました。市が掲げるのは「地域移行」一本槍ではなく、指導面を専門技術を有する外部人材等への委嘱により「クラブ化」するという独自方式です。令和7年10月27日に「弘前市立中学校の部活動改革」本文を、同年11月4日に令和8年度方針を公表し、令和8年度から市立中学校の活動を「地域クラブ・学校クラブ・学校サークル」の3つに区分するとともに、部活動および教員の顧問制度を廃止します。市は「全てを地域クラブに移行させることは難しい」と公式に明言しており、できるところから段階的に進める現実路線が特徴です。

特徴的な取り組み

  • 「地域クラブ・学校クラブ・学校サークル」の3区分並立モデル: 運営を「指導面」と「管理面」に分解し、地域クラブは外部の地域団体等がすべてを担い(学校を問わず所属可)、学校クラブは教員が管理・外部人材が指導・保護者会が支援する3者協力体制、学校サークルは教員の勤務時間内に限定した活動とする設計です。
  • 顧問制度の廃止と教員の指導希望制: 令和8年度から顧問制度を廃止。指導を希望する教員は承認を得て指導担当となり(学校クラブでは部活動指導手当を請求可、地域クラブで報酬を得る場合は兼職願)、希望しない教員は勤務時間内の管理業務のみとなります。
  • 学校クラブの「現地集合・現地解散」原則: 保護者会の協力を得て、県外大会等を除き教員の引率業務をなくします。
  • 16校×27種目の指導者配置マトリクスを公開: 種目ごと・学校ごとに「指導者がいる/希望する指導者がいない/地域クラブ等参加生徒あり」を市ホームページで随時更新公開し、自校にない種目は地域クラブでの活動も可能と案内しています。
  • 段階的な3ステップ目標: 第1段階で指導面の外部人材化100%、第2段階で学校クラブの改善、第3段階で地域クラブへの移行(理想形)と、到達点を段階的に設定しています。

課題と解決策

課題 解決策
外部指導者が見つからない種目への対応 外部指導者が決まるまでは旧部活動を複数教員体制で存続させる移行措置を設定
指導者の確保・開拓 部活動指導員(教委任用)とクラブコーチ(教委独自委嘱・資格不要だが市教委主催研修が必須)の2制度を整備し、保護者もクラブコーチに申請可能とする。学校運営協議会・地域コーディネーターを通じた人材開拓も明記
受益者負担・財源の在り方 教員手当・生徒個人の活動費支援・地域クラブ活動費援助を含む「持続可能な制度とすることを考慮した受益者負担の在り方」を継続検討事項として公式に位置付け

成果・効果

令和5年度から部活動加入の任意化(自主的・自発的参加)を先行実施し、陸上・柔道・剣道の3競技では月1回程度または年5回程度の合同部活動を実施してきました。令和7年度末実績表(令和8年1月30日現在)では、市立中16校×27種目について指導者の配置状況と地域クラブ等への参加状況が可視化されています。活動基準としては週2日以上の休養日(平日1日・週末1日以上)、平日2時間程度・休業日3時間程度の活動時間、オフシーズン設定などを「弘前市児童生徒のスポーツ・文化芸術活動の指針」(令和7年3月改訂)で定めています。令和8年度の3区分導入・顧問制度廃止はこれからが本番であり、外部人材化の進捗が注目されます。

出典

→ 原文: 弘前市立中学校の部活動改革(弘前市公式)
→ 原文: 「弘前市立中学校の部活動改革」本文(PDF・令和7年10月27日)
→ 原文: 令和8年度の弘前市立中学校の部活動改革について(PDF・令和7年11月4日)
→ 原文: 弘前市立中学校スポーツ・文化芸術活動状況(令和7年度末実績・PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

弘前市の最大の特徴は、「全てを地域クラブに移行させることは難しい」と公式文書で明言した上で、運営を「指導面」と「管理面」に分解し、まず指導面の外部人材化100%を第1段階に据えた点です。地域移行を掲げながら受け皿不足で停滞する自治体が多い中、顧問制度廃止という教員側の制度改革を先に断行し、学校クラブ・学校サークルという中間形態を正式に位置付けることで、「移行が完了しない種目」の居場所を制度内に確保しました。理想形を掲げつつ現実の到達点を段階的に刻む設計は、指導者資源が限られる地方都市にとって極めて示唆に富む進め方です。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この方式を導入する際のハードルは、顧問制度廃止に伴う学校現場の混乱と、外部指導者が見つからない種目の扱いです。弘前市は「外部指導者が決まるまでは旧部活動を複数教員体制で存続させる」という移行措置を明文化し、急激な断絶を避けています。また、指導者の裾野を広げるため、資格不要のクラブコーチ制度(研修必須)を設け保護者にも門戸を開いている点は、人材確保に悩む自治体がすぐに参考にできる工夫です。導入時は、教員の指導希望制と手当・兼職ルールをセットで整備し、指導したい教員の受け皿を残すことが現場の納得感につながります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和4年度からの検討委員会・アンケートを起点に、本文・年度方針・FAQ・実績マトリクスまで一次資料を市ホームページで体系的に公開しており、情報公開の透明性は高水準です。16校×27種目の指導者配置状況を随時更新する仕組みは、進捗を市民が検証できるガバナンス装置として機能します。一方、受益者負担の在り方や地域クラブ創設支援策は継続検討段階であり、財源設計の確定が持続可能性の鍵となります。

CONSULTING / 専門家に相談

受け皿団体の組織整備・経営について
専門家に相談しませんか?

設立手続きの進め方・行政との調整・資金計画など、
総合型地域スポーツクラブ特化のコンサルティングをご提供しています。

🏢 クラブ立ち上げ
🤝 行政調整・仲介
📊 事業計画策定

HOW TO START

3ステップで
相談を始められます

  • 01フォームから状況を送信
  • 02オンラインで初回ヒアリング
  • 03最適な支援プランを提示
専門家に相談する →