トップ 事例を探す 三重県 【事例】三重県菰野町の部活動地域展開 ─ 「元気アップこもの」中核×2中学校生徒1160名対象6種目広域参加×令和8年度末休日部活動終了モデル
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【事例】三重県菰野町の部活動地域展開 ─ 「元気アップこもの」中核×2中学校生徒1160名対象6種目広域参加×令和8年度末休日部活動終了モデル

公開:2026.07.08 更新:2026.07.08
この記事でわかること

・教育委員会(教育課)+首長部局(コミュニティ振興課)+総合型クラブの3層連携運営体制の設計
・令和8年度からの6種目広域参加制度(サッカー・野球・ソフトボール・ハンドボール・柔道・剣道)
・R5生徒アンケート満足度88%と顧問52.9%のギャップから見える指導者確保と連携課題の実像

自治体名 三重県三重郡菰野町
人口規模 41,028人(R5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業報告時点)
中学校数 公立2校(菰野中学校・八風中学校)/生徒数計1,160人/部活動数計28部活
運営形態 菰野町部活動地域移行推進協議会(R5年度に4回開催)/教育委員会(教育課)+首長部局(コミュニティ振興課)+総合型地域スポーツクラブ「元気アップこものスポーツクラブ」の3層連携/指導者管理・謝金支払は元気アップこものスポーツクラブが担う
対象競技 令和5年度に21の地域クラブ活動を設置/令和8年度からの6種目広域参加種目:サッカー・野球・ソフトボール・ハンドボール・柔道・剣道(在籍校を問わず参加可能)
保護者負担額 令和8年度は国の支援等を受けながら家庭負担を軽減/指導者謝金・保険料は保護者負担/用具・大会参加費は従来の部活動と同様に保護者負担(Q&A Q13より)

取り組みの概要

三重県菰野町は、公立中学校2校(菰野中学校・八風中学校)で28部活動・生徒1,160名を対象に、令和5年度から地域移行の取組を開始しました。町内の生徒1,160名のうち100名が部活動に所属せず校外活動を行っていた現状を踏まえ、令和5年度に21の地域クラブ活動を設置し、「菰野町部活動地域移行推進協議会」を立ち上げて年4回の協議を通じて課題を洗い出しました。運営体制は教育委員会(教育課)が学校部活動の在り方検討、首長部局(コミュニティ振興課)が地域クラブ活動の在り方検討を分担し、総合型地域スポーツクラブ「元気アップこものスポーツクラブ」が指導者管理・謝金支払・コーディネーターを担う3層連携が特徴です。令和8年度中に菰野中・八風中の休日部活動は最後の大会・コンクール終了後にすべて終了し、地域クラブ活動へ完全移行します。

特徴的な取り組み

  • 教育委員会+首長部局+総合型クラブの3層連携運営体制: 教育委員会(教育課)が学校部活動の在り方検討と県教委・学校との連絡調整、首長部局(コミュニティ振興課)が地域クラブ活動の在り方検討と総合型スポーツクラブとの連絡調整、元気アップこものスポーツクラブが指導者管理・謝金支払・コーディネーターを担う。教育行政と社会体育行政と地域クラブの役割を明確に分けた3層構造は他自治体の参考例となる。
  • 令和5年度に21地域クラブ活動を一気に設置: 2中学校で28部活動あるうち、21の地域クラブ活動を令和5年度から並行運営。R5生徒アンケートで満足度88%、保護者83%と高評価を得た一方、顧問アンケートは満足度52.9%で「指導者不足」「信頼関係構築」「平日部活顧問との連携」に課題があることを可視化。
  • 令和8年度からの「6種目広域参加制度」: サッカー・野球・ソフトボール・ハンドボール・柔道・剣道の6種目については、どの中学校に通っていても参加可能に。例えば八風中学校の生徒が平日は卓球部でありながら休日はサッカーの地域クラブ活動に参加できる。生徒の希望実現度を大きく高める設計。
  • 「休日の部活動終了時期を大会・コンクール終了後に設定」の丁寧な移行設計: 令和8年度の中学3年生が出場する最後の大会(運動部は夏の中体連、文化部は11月30日までのコンクール・作品展)終了後に休日部活動を全終了。生徒の大会参加権を守りながら次の年度から地域クラブ活動へ完全移行する。
  • Q&A形式15項目の丁寧な保護者・生徒向け説明資料: 「参加は自由」「他種目参加可能」「学区外通学の扱い」「事前登録必須」「現地集合・現地解散」「年度途中入退会可」など、実務レベルの疑問に事前に応える15項目Q&Aを町公式サイトで公開。参加率向上と混乱回避を狙う。

課題と解決策

課題 解決策
生徒数1,160名のうち100名が部活動非所属・校外活動というニーズミスマッチ 令和5年度に21地域クラブ活動を設置し、令和8年度からは6種目を「どの中学校からも参加可能」に。学校外活動を選ぶ生徒にも選択肢を提供。
指導者不足(顧問アンケート満足度52.9%の主要課題) 元気アップこものスポーツクラブに指導者登録制度を導入。指導中の事故・ケガに備えた保険加入、定期的な指導者研修会を義務付け。元教員・現職教員(許可を得て平日から継続指導)も含む多層構成。
地域クラブ活動指導者と生徒の信頼関係構築 令和8年度休日部活動終了までは、部活動顧問と地域指導者が一緒に指導できる日を設定。移行期間中に信頼関係を段階的に構築するトランジション設計。
保護者・生徒の混乱と参加率確保 Q&A形式15項目の詳細説明資料を町公式サイトに公開。参加は自由、他種目参加可能、事前登録必須など実務レベルの疑問に事前対応。

成果・効果

令和5年度実証事業では生徒用アンケートで満足度約88%、保護者用アンケートで約83%と高い評価を得ました。一方、顧問アンケートは満足度52.9%で、指導者確保・信頼関係構築・平日顧問との連携という3課題が可視化されました。菰野町部活動地域移行推進協議会が年4回の議論を経て、これらの課題への対応策を令和6・7年度に反映し、令和8年度から本格運用へ移行する予定です。生徒1,160名中100名が部活動非所属・校外活動という現状に対して、21地域クラブ活動と6種目広域参加制度で選択肢を大幅に拡大し、生徒ニーズと部活動制度のミスマッチを解消する設計になっています。

出典

→ 原文: 菰野町教育課「部活動の地域移行について」菰野町「休日の地域クラブ活動 Q&A」(15項目)三重県「【菰野町】令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業」報告書

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

菰野町モデルの本質は「行政3層+総合型クラブ1層の役割分離」と「6種目広域参加制度」による生徒ニーズの実現度向上です。教育委員会(教育課)が学校側、首長部局(コミュニティ振興課)が地域側、元気アップこものスポーツクラブが実務を担う3層構造は、教育行政と社会体育行政の縦割りを解消する好例。特に「八風中の卓球部員が休日はサッカー地域クラブに参加可能」という6種目広域参加制度は、生徒1,160名中100名の部活動非所属者にも選択肢を提供する画期的な設計で、部活動の枠を超えた「やりたい活動」の実現度を大きく高めます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大のハードルは「首長部局と教育委員会の縦割り解消」です。菰野町は教育課とコミュニティ振興課で明確に役割を分けましたが、これは首長のリーダーシップと両部局の対等な連携合意が前提。他地域が導入する場合、①既存の総合型地域スポーツクラブの実力(指導者数・運営能力・保険加入体制)を先に検証、②教育委員会と首長部局の役割分担を書面化して縦割り解消の担保、③Q&A形式の保護者向け資料を早期公開して混乱を防止、の3点が実務のカギとなります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進協議会年4回開催・R5生徒/保護者/顧問の3者アンケート実施・Q&A15項目公開の情報開示水準は高く、透明性の面で優れています。3層連携(教育委員会・首長部局・元気アップこものスポーツクラブ)は役割が明確で持続性を担保。ただし顧問満足度52.9%の課題は令和6・7年度実証の重要検証項目で、指導者確保と平日顧問連携の解決度合いが本格運用の成否を左右します。

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