トップ 事例を探す 兵庫県 【事例】兵庫県芦屋市の部活動地域展開 ─ 中学校3校の小規模都市で推進会議規則・地域クラブ登録団体制度・保護者226名説明会を組み合わせた段階移行
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 兵庫県

【事例】兵庫県芦屋市の部活動地域展開 ─ 中学校3校の小規模都市で推進会議規則・地域クラブ登録団体制度・保護者226名説明会を組み合わせた段階移行

公開:2026.05.17 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・兵庫県芦屋市の部活動地域展開の地域展開で直面した課題と解決策
・運営主体の選択背景と財源確保の工夫
・他の自治体が参考にすべき視点

自治体名 兵庫県芦屋市
人口規模 約9.3万人
中学校数 市立中学校3校
運営形態 市教育委員会主導/芦屋市立中学校部活動地域展開推進会議で関係者協議。地域クラブ登録団体制度で運営主体を可視化
対象競技 地域クラブとして登録された競技・文化活動から段階的に展開
推進体制 芦屋市立中学校部活動地域展開推進会議(規則に基づき設置)

取り組みの概要

芦屋市教育委員会は、「芦屋市立中学校部活動地域展開推進会議設置規則」に基づき推進会議を設置し、関係者との連携で持続可能な活動環境づくりを進めている。令和5年度から推進会議の運営を開始し、芦屋市立中学校部活動の地域展開推進について研究・協議を継続している。中学校3校という小規模都市規模ながら、推進会議を制度として位置づけている点が特徴である。

2024年12月21日には、保護者向け説明会を打出教育文化センター(うちぶん)で開催し、小学校5・6年生と中学校1・2年生の保護者226名が参加。地域移行の現状と方向性を説明したうえで、令和7年1月14日までオンラインフォームで意見を収集し、計51件のフィードバックを取得している。意思決定の前に保護者の声を可視化する順序で進めている。

市公式サイトには「地域クラブ登録団体・クラブ名のお知らせ」のページが設けられ、市が認める地域クラブの一覧が公開されている。運営主体を可視化する仕組みで、保護者・生徒が選択可能な活動先を一覧で参照できる設計となっている。

特徴的な取り組み

  • 推進会議設置規則を制定: 「芦屋市立中学校部活動地域展開推進会議設置規則」に基づき、推進会議を市の制度として位置づけ。会議体の根拠を規則レベルで明文化。
  • 地域クラブ登録団体・クラブ名の公開: 市公式サイトに登録団体・クラブ名のページを設置し、運営主体を可視化。保護者・生徒が選択肢を一覧で参照できる設計。
  • 保護者説明会+オンライン意見収集: 2024年12月21日に保護者226名参加の説明会を実施。1月14日までオンラインで51件の意見を収集し、合意形成プロセスを記録に残す進め方。
  • 中学校3校の小規模都市での先行設計: 23校・15校規模の中核市と異なり、3校の小規模都市ならではの密度で関係者協議が可能。設計をシンプルに保ちやすい。
  • 運動・文化両領域での地域クラブ登録: 登録団体には運動・文化双方の活動を含め、文化部の受け皿不足という典型的な課題に対しても登録制で対応。

課題と解決策

課題 解決策
中学校3校という小規模都市での種目維持 地域クラブ登録団体制度で運営主体を確保し、3校の生徒が地域クラブに集約できる設計
保護者の理解形成(小学生段階からの説明) 2024年12月21日に小5〜中2の保護者を対象に説明会を開催(226名参加)、その後オンラインで51件の意見を収集
運営主体の信頼性確保 市が認定した登録団体のみを公式サイトで公開し、保護者・生徒が安全に選択できる情報基盤を整備
文化部の受け皿不足 登録団体に運動・文化双方を含む設計で、文化系活動の地域クラブも同じ枠組みで認定

成果・効果

芦屋市は、中学校3校・人口9.3万人という小規模都市規模で「設置規則に基づく推進会議」「登録団体公開」「保護者226名説明会+51件のオンライン意見収集」を組み合わせ、合意形成プロセスを公開された記録として残している点で参照価値が高い。中核市規模より関係者数が少ない分、合意形成の密度を上げやすく、登録制という形で運営主体を可視化する設計を実装できている。

市公式サイトの「地域クラブ登録団体・クラブ名のお知らせ」ページは、保護者・生徒が選択可能な活動先を一覧で参照できる情報基盤として機能している。「地域に活動先がある」ことを示すのではなく「地域のどの団体が登録され、どの種目を担うか」を可視化する点が、保護者の不安解消につながりやすい設計である。

出典

→ 原文: 芦屋市/芦屋市立中学校における部活動の地域展開について(芦屋市地域クラブ登録団体・クラブ名のお知らせ)

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

芦屋市の事例で参照価値が高いのは、中学校3校という小規模都市が「設置規則に基づく推進会議」「登録団体公開」「保護者向け大規模説明会」を制度・記録の両面で整えている点である。規模が小さい自治体は「うちはそこまで仕組み化しなくても運用できる」と省略しがちだが、保護者・関係者数が少ないからこそ、規則・公開ページ・説明会記録という3点を残しておくことで、担当者交代後も継続性が確保される。

「地域クラブ登録団体・クラブ名のお知らせ」を市公式サイトで公開している運用は、合意形成において重要なポイントである。地域移行を「制度として進める」と説明する自治体は多いが、「現時点でどの団体が登録され、どの種目を担うか」を一覧で見せる例は限られる。保護者が「具体的に何が変わるか」を理解しやすくなる。

保護者226名の説明会後にオンラインで51件の意見を収集する設計は、対面とデジタルを組み合わせる現実解として参考になる。説明会のその場での発言は限られるが、後日のオンラインフォームで意見が出やすくなる構造を作っている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

①小規模都市は「学校3校・教委・PTA」だけで意思決定が完結しがちだが、地域クラブ登録団体に運営を委ねる場合、団体側の事務・指導者体制が中核市以上にシビアになる。芦屋市のように登録制で一覧化することで、市側が団体のキャパシティを把握しやすくなる。導入時は登録要件(指導者数・活動実績・安全管理)を最初に詰めておく必要がある。

②保護者説明会の226名は、小学校5年生〜中学校2年生という幅広い学年を対象にしており、これは「中学入学前の保護者にも届ける」順序設計である。地域移行は中学入学後では遅く、進学前から見通しを共有する設計が必要であることを示している。

③オンラインフォームでの意見収集は、件数(51件)だけを成果として扱うと方向を誤る。芦屋市は具体的な意見内容を方針・運用に反映する想定で収集しており、導入する自治体は「収集件数」ではなく「反映プロセスの公開」までセットで設計する必要がある。

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