トップ 事例を探す 長崎県 【事例】長崎県長与町の部活動地域展開 ─ NPO委託と企業版ふるさと納税で全中学校を完全移行
全種目 1~5万人 長崎県

【事例】長崎県長与町の部活動地域展開 ─ NPO委託と企業版ふるさと納税で全中学校を完全移行

📅 公開:2026.04.10 🔄 更新:2026.04.10
自治体名 長崎県西彼杵郡長与町
人口規模 約3.9万人(2023年7月末時点)
中学校数 3校(長与中学校・長与第二中学校・高田中学校)
運営形態 総合型地域スポーツクラブ(NPO法人長与スポーツクラブ)への委託
対象競技 卓球、陸上、サッカー、バスケットボール、バレーボール、バドミントン、ソフトテニス、硬式テニス、軟式野球、柔道、剣道、弓道(12種目)
保護者負担額 月額3,000円(就学援助支援世帯は2,000円を助成し実質1,000円)

取り組みの概要

長崎県長与町は、長崎市北部に位置する人口約4万人の町です。少子化による部員不足や教員の負担増加を受け、令和2年度(2020年度)に地元の総合型地域スポーツクラブである「長与スポーツクラブ(NSC)」と連携して卓球の融合型教室を試験的に開始しました。その後、令和3〜4年度にかけてスポーツ庁委託事業による実証研究を重ね、令和5年度(2023年度)4月から休日の全運動部活動を地域スポーツ活動へ一斉移行しました。移行の受け皿はNSCが担い、町教育委員会が「部活動地域移行コーディネーター」を配置して行政・学校・クラブの三者連携を推進しています。

特徴的な取り組み

  • 段階的な実証から全面移行へ: 令和2年度の卓球融合教室を皮切りに、令和3年度・卓球の実証研究、令和4年度・バスケットボールの実証研究と段階を踏み、令和5年4月に全12種目・全中学校の休日部活動を一斉移行しました。合意形成と制度整備を優先した手堅い進め方が全国から注目されています。
  • 企業版ふるさと納税の活用: 令和5年12月、長与町・スポーツデータバンク株式会社・三井住友海上火災保険株式会社の三者で連携協定を締結。三井住友海上火災保険から企業版ふるさと納税として200万円の寄附を受け、財源の多様化を実現しました。部活動地域移行への企業版ふるさと納税活用は全国的にも先進的な取り組みです。
  • 指導者の質的向上と大学生ボランティアの確保: 長崎県立大学シーボルト校と連携して大学生ボランティア33名を確保。大阪体育大学の「運動部活動指導認定プログラム」を町内で開催し、受講費(20,500円)の一部を助成することで指導者の有資格化を推進しています。
  • 経済的格差への配慮: 月会費を3,000円に設定しつつ、就学援助支援世帯には「地域スポーツ活動サポート基金」から月2,000円を補助(実質1,000円)することで、経済格差による参加機会の不平等を解消しています。

課題と解決策

課題 解決策
受け皿団体(NSC)の運営基盤が脆弱で事務処理能力に限界があった 事務局長とフルタイム職員を新規採用。会計ソフト・電子決済を導入し、税理士との連携で会計処理を適正化
月会費収入のみでは運営費(年間約2,700万円)を賄えない スポーツ庁委託金・長崎県補助金・長与町自主財源の組み合わせに加え、企業版ふるさと納税・寄附を財源に追加。受益者負担58.5%・公的資金41.5%の構造を実現
指導者の絶対数が不足し有資格者も少なかった 近隣大学との連携で大学生ボランティア33名を確保し、公認指導者資格プログラムを町内開催して有資格化を推進
保護者・教職員の意識が「学校部活動」から「地域スポーツ活動」へ転換しにくかった 担当者が現場に足を運び丁寧に対話。保護者向けに参加費の妥当性を広報し、移行への理解を促進

成果・効果

令和5年12月末時点で、12種目21活動に350名が参加し、指導者124名(うち現職教員の兼職兼業20名、大学生ボランティア33名)が携わっています。令和4年度のバスケットボール実践研究では参加生徒の約62%が「満足・とても満足」と回答し、保護者の65%が月会費3,000円を「妥当」、20%が「安い・とても安い」と評価しました。教職員からは本来業務の負担が大幅に軽減したとの声が寄せられ、練習試合の設定・会計管理・休日の技術的指導・保護者との連絡調整の軽減が主な内容として挙げられています。さらに令和5年度の長崎県中学校総合体育大会バスケットボール競技では、県内で唯一、長与スポーツクラブが地域クラブとして参加を認められ、地域移行後も生徒の競技機会が確保されることが示されました。

出典

→ 原文: 「長与町の部活動地域移行について」スポーツ庁(令和6年2月)