【事例】茨城県守谷市の部活動地域展開 ─ ふるさと納税型クラウドファンディング2回実施で目標202%・1,009万円調達と守谷市スポーツ協会委託運営
・守谷市がふるさと納税型クラウドファンディングを2回実施して合計1,578万円超・支援者676名を集めた具体的な手法と改善プロセス
・寄附金を市教育文化振興基金に積み立て翌年度以降の地域クラブ事業費に活用する中長期財源設計の仕組み
・庁内連携(生涯学習課・財政課)の課題と2年かけた準備プロセス・企業版ふるさと納税への展開方針
| 自治体名 | 茨城県守谷市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約7.1万人(70,900人) |
| 中学校数 | 4校(生徒数1,913人) |
| 運営形態 | 一般社団法人守谷市スポーツ協会への委託(市生涯学習課が全体企画) |
| 対象競技 | 複数種目(部活動にない新種目クラブを含む) |
| 保護者負担額 | 不明(調査時点で未公表) |
取り組みの概要
茨城県守谷市は人口約7.1万人、公立中学校4校に1,913名の生徒が在籍し、42部活が活動しています(令和6年度)。公費支出だけでは難しい地域クラブ活動の運営費の一部を賄うため、ふるさと納税型クラウドファンディングに挑戦し、新たな財源確保の仕組みを構築しています。
令和4年4月から庁内検討(生涯学習課・財政課・ふるさと納税担当)を重ね、令和5年11月から実施を決定。令和5年11月22日から令和6年2月19日まで初回クラウドファンディングを実施し、目標額(約500万円)の114%となる5,691,000円を237名の支援者から集めることに成功しました。令和6年度は最も寄附が集まりやすい10月3日から12月31日に時期を変更して実施し、目標額5,000,000円に対して10,094,500円(達成率202%)を439名の支援者から集め、2回連続での大幅超過達成を実現しています。
運営体制は守谷市生涯学習課がクラウドファンディングの企画・ページ作成・広報・委託手続きを担い、一般社団法人守谷市スポーツ協会がコーディネーターの配置・地域クラブ活動の管理運営・指導者の募集と雇用・研修・保護者説明会の開催・生徒と指導者の保険加入を担う二層構造です。財政課のふるさと納税担当がポータルサイト運営会社との連携・寄附金管理・返礼品発送を担当します。
特徴的な取り組み
- ふるさと納税型クラウドファンディング2回実施で合計1,578万円超を調達:令和5年度5,691,000円(達成率114%・支援者237名)、令和6年度10,094,500円(達成率202%・支援者439名)と連続で目標を大幅超過。2回目は実施時期を10月〜12月(寄附が集まりやすい時期)にシフトしたことで支援者数・寄附額ともほぼ倍増しました。前回支援者からのリピート寄附も確認されており、地域クラブへの継続的な支持が広がっています。
- 寄附金を市教育文化振興基金に積み立て翌年度以降の予算に充当:集まった寄附金を当年度の事業費に直接充てるのではなく、市教育文化振興基金へ積み立て、次年度以降の地域クラブ活動の創設・運営・実施経費に活用する設計を採用。単発の財源確保ではなく、中長期的な地域クラブ支援基金として機能させています。
- 部活にない新種目クラブの創設費用にも活用:寄附金の使途は、これまでの部活動にない新しいスポーツ競技の新しいクラブの創設費・各種目コーチの雇用費・指導者講習会の開催費・備品購入費と明示。「部活動の地域移行」に留まらず、新たな種目・活動の創設を促す財源として活用しています。
- 庁内連携(生涯学習課・財政課)による2年かけての準備:クラウドファンディングの開始は令和4年4月からの2年間の庁内検討が前提です。生涯学習課(スポーツ担当)とふるさと納税担当(財政課)の調整が最も時間がかかった点として担当者が明かしており、実施時期・目標金額・使用サイト等の決定を余裕をもって準備することの重要性を示しています。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| クラウドファンディングで集まる金額は全体経費の10%程度に過ぎない | 令和7年度から企業版ふるさと納税の実施準備を開始。クラウドファンディング以外にもその他の財源確保策を並行して検討し、財源の多様化を図る |
| ふるさと納税サイトの手数料や業務範囲による寄附額の違い | 複数サイトをしっかり比較検討してサイトを選定。サイトの手数料や受付できる業務の範囲を事前確認し、コスト対効果を最大化 |
| 返礼品や寄附特典の魅力向上と継続的な寄附促進 | 活動写真や支援者向けのストーリー性を強化するなど募集ページの魅力向上に継続投資。前回支援者へのリピート訴求を強化して次回クラウドファンディングへの連続支援を促進 |
| 貸出用備品の老朽化と買い替え費用の負担主体の不明確さ | 買い替えに係る費用を自治体(学校)と地域クラブ活動どちらで分担するか今後検討。備品台帳の整備と計画的な更新体制の構築が必要 |
成果・効果
令和5年度・令和6年度の2回のふるさと納税型クラウドファンディングで合計15,785,500円(支援者合計676名)を調達し、地域クラブ活動の財源として市教育文化振興基金に積み立てました。集めた寄附金は地域クラブ活動の用具購入や指導者研修費用等に充てられ、より充実した活動環境の整備に活用されています。
クラウドファンディングの活用により、公費支出を一部補填する仕組みが整備されました。令和6年度の10,094,500円という達成額は、市民・企業の地域クラブ活動への支持が金額として可視化された成果であり、行政の事業に対する共感の広がりを示しています。令和7年度は企業版ふるさと納税への展開も視野に入れており、財源多様化のロードマップが描かれています。
出典
→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集|スポーツ庁・文部科学省
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
守谷市のクラウドファンディング取り組みが特筆される点は「2回実施して改善した」という学習サイクルにあります。1回目(11月〜2月)の経験から「10月〜12月が最も寄附が集まりやすい」という知見を得て2回目に適用し、支援者数・金額ともほぼ倍増という成果を出しました。担当者が「1回目と比べて2回目の方が寄附額が増加した」「実施時期の調整がポイント」と明かしている点は、クラウドファンディングを初めて実施する自治体にとって具体的な示唆になります。
「寄附金を基金に積み立て翌年度以降に活用」という設計も参考になります。クラウドファンディングで集まった資金を当年度事業費に直接充当するのではなく、基金経由で中長期的な事業費として活用する仕組みにより、年度をまたいだ安定的な財源として機能させています。補助金依存からの脱却という観点でも、自治体が主体的に構築できる持続財源の一形態として評価できます。
一方で、クラウドファンディングが全体経費の10%程度に過ぎないという事実は冷静に受け止める必要があります。財源確保の「全解」ではなく「補完手段の一つ」として位置づけ、受益者負担(月額会費)・行政予算・企業版ふるさと納税・地元企業協賛など複数の財源を組み合わせる戦略が現実的です。守谷市が令和7年度から企業版ふるさと納税にも着手しているのは、まさにこの複合財源戦略への移行です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
守谷市型クラウドファンディングの導入で最も時間がかかるのは「庁内調整」です。生涯学習課(スポーツ担当)とふるさと納税担当(財政課)が別々の課であるため、担当課間の連携と役割分担の整理に時間が必要です。守谷市の担当者も「庁内調整が最も時間がかかった」と語っており、実施の2年前から準備を始めることを推奨しています。サイト選定、目標金額の設定、返礼品の設計(体験型・物品型)、募集ページのコンテンツ作成まで準備項目が多いため、余裕をもったスケジュールが重要です。
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