トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県常滑市の部活動地域展開 ─ 教委直営で10クラブ・サッカー剣道柔道卓球を全校無料実施・体育協会と外部指導員58名体制
全種目 👥 5~10万人 🏫 大規模校(300人以上) 📍 愛知県

【事例】愛知県常滑市の部活動地域展開 ─ 教委直営で10クラブ・サッカー剣道柔道卓球を全校無料実施・体育協会と外部指導員58名体制

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・教委直営で令和5年度2種目→令和6年度4種目10クラブへの2年連続拡大を実現
・体育協会・外部指導員・兼職兼業教職員の三者連携で58名の指導者体制を確保
・令和8年9月の既存地域団体移行という具体的タイムラインを検討委員会で策定

自治体名 愛知県常滑市
人口規模 約5.9万人(58,603人・令和7年2月1日現在)
中学校数 4校(生徒数1,852名)
運営形態 常滑市教育委員会(地方自治体直営)
対象競技 サッカー(3クラブ)、剣道(3クラブ)、柔道(2クラブ)、卓球(2クラブ)=計10クラブ
保護者負担額 無料(スポーツ安全保険料は別途)

取り組みの概要

常滑市は愛知県知多半島に位置する人口約5.9万人の市です。公立中学校は鬼崎中学校・常滑中学校・南陵中学校・青海中学校の4校(生徒数1,852名)があり、40部活が活動しています。南北に長い地形のため、北部・南部の中学校では少子化による部員減少と部活動維持が課題となっています。

常滑市では令和5年度から「休日部活動の地域移行」の実証事業を開始し、サッカーと剣道の地域クラブ活動を開始しました。令和6年度はこれを継続・拡大し、柔道・卓球の2種目を新たに加えて計10クラブ(14部活を移行)を運営しています。運営主体は常滑市教育委員会で、体育協会・部活動外部指導員・兼職兼業希望教職員が指導者として参加する58名体制を整備しました。

活動場所は鬼崎中学校・常滑中学校・南陵中学校の3校。サッカー・剣道は令和6年4月から3月まで月4回程度(8月は活動休止)、柔道・卓球は令和6年9月から3月まで月4回程度実施しています。参加費は無料で、将来的には受益者負担を求めることを検討していますが、令和6年度は引き続き無料設定を維持しています。

特徴的な取り組み

  • 令和5年度から令和6年度への2年連続拡大(2種目→4種目・10クラブ化):令和5年度に始まったサッカー・剣道の2種目実証をベースに、令和6年度は柔道・卓球を追加して4種目10クラブへと拡大。「改革推進期間」中に着実に種目を増やす段階的手法を採用しています。
  • 体育協会・外部指導員・兼職兼業教職員の三者連携による58名指導者確保:常滑市体育協会(サッカー協会・剣道部・柔道部・卓球連盟)を指導者登録窓口として活用し、部活動外部指導員および兼職兼業を希望する教職員も地域クラブ指導員として登録。主指導者10名・運営補助者48名という安定した体制を構築しています。
  • 令和8年9月「既存の地域団体への参加」方針の早期策定:検討委員会(令和6年7月・10月・11月計3回開催)を通じて、令和8年9月以降は既存の地域スポーツ団体の活動に生徒が参加する形での地域クラブを推進するという具体的な方針を策定。行政主体で一元管理する段階から民間・地域団体主体へ移行する明確なロードマップを提示しています。
  • 全3校・4種目の学校別指導者謝金管理と保険加入の一元化:教育委員会の運営事務局(2名)が、3中学校・4種目10クラブの指導者謝金支払い・保険加入・学校および保護者との連絡調整を一括管理。学校側の事務負担を極力小さく抑えた運営体制が特徴です。

課題と解決策

課題 解決策
少子化が進む北部・南部校での部員減少と部活動種目維持の困難 地域クラブ活動では複数校の生徒が同一クラブに参加できる設計を採用。鬼崎・常滑・南陵の各校単位でクラブを設置し、地元の学校施設で活動できる環境を確保
令和8年9月以降の継続的な財源確保と受益者負担の設計 令和6年度実証事業補助金を活用しながら、本格実施後に向けた適切な受益者負担のあり方を検討委員会で議論中。段階的な受益者負担導入を計画
教職員の兼職兼業希望者の確保と継続的な指導者登録 市の募集に応じた教職員・小中学校事務職員も指導者として登録できる制度を整備。スポーツ協会のネットワークと組み合わせて人材確保の多重化を図る
各種目の大会参加方法の整合(部活動としての大会参加との調整) 令和6年度は大会参加は「部活動」として実施。地域クラブとしての大会参加方法は令和7年度以降の検討課題として位置づけ

成果・効果

令和6年度は10クラブ(サッカー3・剣道3・柔道2・卓球2)が稼働し、延べ214名超の生徒が参加しました。サッカーには鬼崎・常滑・南陵の各校合計で約76名、剣道には約48名、柔道には約34名(鬼崎・常滑)、卓球には約56名(鬼崎・南陵)が参加しています。58名の指導者体制(主指導者10名・運営補助者48名)で月4回程度の活動を安定的に実施しました。

令和6年7月・10月・11月に開催した部活動・地域移行あり方検討委員会(計3回)、令和6年12月の指導者・生徒・保護者アンケート、令和7年1月の指導員意見交換会を経て、令和8年9月以降の本格実施に向けた地域クラブ取組方針を策定しました。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(愛知県常滑市)|スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

常滑市では令和5年度にサッカー・剣道2種目で休日部活動の地域移行実証を開始し、令和6年度には柔道・卓球を追加して4種目10クラブ(14部活分)へと段階的に拡大した。運営主体は常滑市教育委員会(教委直営)で、鬼崎・常滑・南陵の3中学校を活動拠点としている。令和6年度は延べ214名超の生徒が参加し、参加費は無料(スポーツ安全保険料は別途)を維持した。指導者は主指導者10名・運営補助者48名の計58名体制で、各種目月4回程度の活動を安定的に実施している。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みで58名の指導者体制を実現した核心は、常滑市体育協会内のサッカー協会・剣道部・柔道部・卓球連盟を指導者登録の窓口として活用したことにある。これにより教育委員会が個別に指導者を探す手間を省き、さらに兼職兼業を希望する教職員・小中学校事務職員も登録対象に加えて人材確保ルートを多重化している。運営事務局は2名で3校・4種目10クラブ分の指導者謝金支払い・保険加入・連絡調整を一括管理し、各学校に個別の事務負担をかけない集約型の体制が学校の働き方改革の観点からも機能している。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

令和6年7月・10月・11月の計3回にわたり部活動・地域移行あり方検討委員会を開催し、同年12月の指導者・生徒・保護者アンケートおよび令和7年1月の指導員意見交換会を踏まえて、令和8年9月以降は既存の地域スポーツ団体への参加形式に移行する方針を策定した。参加費については、実証補助金終了後を見据えた受益者負担の段階的な導入を引き続き検討している。

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