トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県名古屋市の部活動地域展開 ─ 民間企業「スポーツデータバンク」委託でブレイキン・カバディ等16クラブを無償実施・令和7年10月に116校規模の本格展開へ
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 愛知県

【事例】愛知県名古屋市の部活動地域展開 ─ 民間企業「スポーツデータバンク」委託でブレイキン・カバディ等16クラブを無償実施・令和7年10月に116校規模の本格展開へ

公開:2026.05.03 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・部活動参加率が2012年比で約10ポイント低下した背景のもと、令和6年度に民間事業者への一括委託による実証事業を開始した。
・ブレイキン・セパタクロー・カバディなど学校部活動では提供困難な種目を導入し、多様な参加動機への対応を図った。
・令和7年10月の本格実施に向け、令和6年度実証の成果とアンケート結果を116校規模の全市展開計画に反映する段階的移行を進めている。

自治体名 愛知県名古屋市
人口規模 約233万人(2,331,413人)
中学校数 116校(生徒数50,255名)
運営形態 スポーツデータバンク株式会社(民間事業者・名古屋市教育委員会からの業務委託)
対象競技 バドミントン、チアダンス、卓球、セパタクロー、カバディ、陸上、ラグビー、ブレイキン、軟式野球、バスケットボール、バレーボール、サッカー等(16クラブ・多種目)
保護者負担額 無償(スポーツ安全保険料も自己負担なし)

取り組みの概要

名古屋市は愛知県の中心に位置する人口約233万人の政令指定都市で、公立中学校116校に50,255名の生徒が在籍しています(令和6年度)。名古屋市内の中学校部活動数は2012年の1,050部活から2022年には909部活へと13.4%減少し、部活動参加率も同期間に77.1%から67.3%へと約10ポイント低下しています。こうした状況を受け、名古屋市教育委員会は令和5年度から「今後の部活動のあり方検討」に着手しました。

生徒・保護者へのアンケート調査や有識者懇談会(合計5回)を経て策定した方針では、「令和7年10月から土・日曜日の部活動を見直し、活動は大会参加等のみとする。これに併せ、中学校施設を開放し、地域の多様な団体・事業者等による地域クラブ活動を実施する」という方向性を打ち出しました。令和6年度はこの本格実施(令和7年10月)に向けた実証事業として、民間事業者であるスポーツデータバンク株式会社に業務を委託し、市立中学校4校で「スポーツ&文化芸術体験」クラブを運営しました。

令和6年度の実証では、富士中・左京山中・宮中・上社中の4校を会場に、バドミントン・チアダンス・卓球・セパタクロー・カバディ・陸上・ラグビー・ブレイキン・軟式野球・バスケットボール・バレーボール・サッカー・卓球バレーなど多彩な種目を提供しました。参加費は無償で、市内全中学校(市立・国立・私立)の生徒を対象に参加者を募集しました。

特徴的な取り組み

  • 政令市規模での民間企業一括委託モデル:116校・5万人規模の大都市での地域クラブ活動整備において、「スポーツデータバンク株式会社」という民間事業者に業務を一括委託。指導者の登録・研修・調整から当日運営・保護者対応・アンケート調査まで、民間ノウハウと組織力を活用して73名の指導者体制を確保しました。
  • 学校部活動にないマイナースポーツ・新スポーツの導入:ブレイキン(ブレイクダンス)、セパタクロー(東南アジア発祥の蹴りのみバレー)、カバディ、卓球バレー(卓球台を使ったバレーボール)など、通常の学校部活動では接する機会の少ない競技を積極的に取り入れました。多様な選択肢を提供することで、従来の部活動になじめなかった生徒を取り込む効果が期待されます。
  • 全市立・国立・私立中学校へのチラシ配布による開かれた募集:参加者募集の際、市立中学校だけでなく国立・私立中学校にもチラシを配布し、学校の設置者を問わず広く参加を呼びかけました。公立中学校に在籍しない生徒も含めた「地域の子どもたちの活動機会」という位置づけで運営しています。
  • eラーニング・対面研修による指導者73名の確保:市内スポーツチーム・競技連盟・協会・フリーランスなど多様な属性の指導者を登録し、eラーニングまたは対面による指導者研修を実施。コーディネーターが各学校と調整を担い、スムーズな活動実施体制を整備しました。

課題と解決策

課題 解決策
令和7年10月の本格実施に向けた学校施設開放の運営手法の確立 令和6年度実証事業で4校の学校施設を活用し、施設利用・安全管理・学校との調整手法を検証。成果を令和7年度の全市展開に反映
116校規模での指導者・運営団体の確保 市内スポーツチーム・競技連盟・協会・フリーランスを指導者として広く登録できる体制を構築。競合する特設ウェブサイトで参加者・指導者の双方を募集
多様な生徒ニーズへの対応(学校部活動にない種目への需要) ブレイキン・セパタクロー・カバディなど学校部活動では提供できないユニークな種目を積極導入し、参加動機の多様化を図る
保護者への周知・理解促進 保護者説明会を実施し、地域クラブ活動の趣旨・安全管理・保険加入について丁寧に説明。チラシは保護者向けに作成し全中学校に配布

成果・効果

令和6年10月19日から令和7年2月23日にかけて、市立中学校4校を会場に16クラブが稼働しました。各会場で8〜12回の活動を実施し、富士中・左京山中・宮中・上社中の各校で合計参加者は中学1年生37名・43名・45名・56名、2年生20名・22名・32名・27名、3年生1名・3名・7名・3名となっています。指導者73名・運営スタッフ10名体制でのスムーズな運営が実現されました。

令和7年2月のアンケート調査結果は令和7年度の本格実施計画に反映されており、令和7年10月からは土・日曜日の部活動の大規模な見直しと地域クラブ活動への移行が予定されています。政令市規模での民間委託モデルとして、名古屋市の事例は全国の大都市型地域移行のモデルとして注目されています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 実証事業報告書(愛知県名古屋市)|スポーツ庁

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

名古屋市では、部活動数が2012年の1,050部活から2022年には909部活へと13.4%減少し、参加率も77.1%から67.3%へと約10ポイント低下した。こうした状況を受け、名古屋市教育委員会は生徒・保護者へのアンケート調査や有識者懇談会(合計5回)を経て方針を策定し、令和7年10月から土・日曜日の部活動を大会参加等のみに限定したうえで学校施設を開放し、地域クラブ活動を実施する方向性を打ち出した。令和6年度はこの本格実施に向けた実証事業として、スポーツデータバンク株式会社に業務を委託し、市立中学校4校を会場に「スポーツ&文化芸術体験」クラブを運営した。参加費は無償(スポーツ安全保険料も含む)とし、市立・国立・私立を問わず市内全中学校の生徒を対象に参加者を募集。令和6年10月から令和7年2月にかけて16クラブが稼働し、73名の指導者と10名の運営スタッフによる体制で実施された。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

この取り組みで際立つのは、116校・生徒約5万人という政令市規模での民間企業一括委託モデルである。スポーツデータバンク株式会社が指導者の登録・研修・調整から当日運営・保護者対応・アンケートまでを一体的に担い、eラーニングまたは対面の指導者研修を通じて73名の指導者体制を確保した。種目選定においても、ブレイキン・セパタクロー・カバディ・卓球バレーなど通常の学校部活動では接する機会の少ない競技を積極的に取り入れ、従来の部活動になじめなかった生徒が参加できる多様な選択肢を用意した。参加者募集にあたっては市立中学校だけでなく国立・私立中学校にもチラシを配布し、学校設置者を問わない形で広く呼びかけた点も特徴的である。民間委託モデルは千葉県流山市大阪府八尾市でも導入されているが、名古屋市は116校規模を単一事業者が一括運用する点で規模が異なる。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

名古屋市は令和7年10月という具体的な本格実施期日を明示したうえで、令和6年度を検証フェーズとして明確に位置づけた。実証事業で積み上げた施設利用・安全管理・学校との調整手法は令和7年度の全市展開に反映される予定であり、令和7年2月のアンケート結果も本格実施計画に組み込まれている。一方、令和6年度は実証事業補助金を活用した無償実施であり、本格実施後の財源確保—受益者負担の設定や市費補助の継続—は令和7年度以降に向けた課題として残されている。

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