トップ 事例を探す 福岡県 【事例】福岡県北九州市の部活動地域展開 ─ 3段階ロードマップで令和9年9月に休日部活を完全廃止・地域クラブ登録制と人材バンクで受け皿整備
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【事例】福岡県北九州市の部活動地域展開 ─ 3段階ロードマップで令和9年9月に休日部活を完全廃止・地域クラブ登録制と人材バンクで受け皿整備

公開:2026.05.02 更新:2026.05.02
この記事でわかること

・北九州市が令和9年9月の休日部活完全廃止に向けて策定した3段階ロードマップの内容
・2.5万人超のアンケートで明らかになった中学生・保護者・教員のリアルなニーズ
・地域クラブ登録制度と人材バンクによる政令市規模の受け皿整備の進め方

自治体名 福岡県北九州市
人口規模 約93万人(2024年時点)
中学校数 63校
運営形態 教育委員会主体・北九州市地域クラブ活動登録制度
対象競技 全運動部活動・全文化部活動(休日)
保護者負担額 地域クラブ移行後は各クラブの会費(生活困窮家庭への支援策は検討中)

取り組みの概要

九州最大の政令市・北九州市(人口約93万人)は、令和7年度(2025年度)から段階的に休日部活動を縮小し、令和9年9月(2027年9月)には休日の部活動を完全廃止して平日のみの活動に移行するロードマップを策定しました。市内63校の市立中学校に在籍する22,046名の生徒・712の部活動(運動532部、文化180部)が対象です。令和5年度には外部有識者・学校・地域団体の代表者で構成する「部活の未来を考える会」を設置し、中学生・保護者・教員合計2万5千人超を対象としたアンケート調査を実施したうえで、令和7年に「北九州市部活動地域移行推進計画」を策定しました。

特徴的な取り組み

  • 3段階の段階的スケジュール:令和7年度(第1週末は完全休養)→令和8年度(第1・3週末は完全休養)→令和9年9月(休日は完全廃止・平日のみ)という明確な3段階ロードマップを設定。平日も令和7年度から活動終了時刻を設定して段階的に短縮し、令和9年度から拠点校型(エリア型)モデルを開始する。
  • 北九州市地域クラブ活動登録制度:受け皿となる団体を「北九州市地域クラブ活動」として登録する制度を整備。登録団体には学校施設の利用・学校での周知が可能となる。令和8年3月時点で7区すべて(門司区・小倉北区・小倉南区・若松区・八幡東区・八幡西区・戸畑区)にわたる認定クラブリストを公開。特定種目への専念だけでなく、体験教室・レクリエーション・シーズン制・アーバンスポーツ・メディア芸術・ユニバーサルスポーツなど多様な形態を認める。
  • 地域クラブ活動指導者人材バンクの構築:大学生・スポーツクラブ・民間団体等と連携協力し、「北九州市地域クラブ活動指導者人材バンク」を整備。指導者のマッチングを行うとともに、教員の兼職兼業制度を明確化し、指導を希望する教員が地域クラブ指導者として従事できる仕組みを整える。
  • 多段階アンケートによるニーズ把握:令和5年6月に中学生12,460人・保護者7,388人・教員1,155人からアンケートを回収。教員の50%が「経験のない種目を指導」・53%が「指導継続を望まない」という実態を把握し、改革の必要性を具体的な数値で示した。生徒ニーズの二極化(「気軽に楽しみたい」23%、「専門指導で上達したい」17%)も明らかになった。

課題と解決策

課題 解決策
少子化による生徒数減少(出生数7,394人減・15〜19歳は17,709人と予測)と廃部・休部の増加 地域クラブへの移行により複数校合同の活動・多様な規模での参加機会を確保
指導者の確保(教員の53%が指導継続を望まない) 人材バンクで大学生・民間団体等とマッチング、教員の兼職兼業制度を整備
保護者の費用負担(移行後は会費が発生) 経済的支援が必要な家庭への対策を検討中、スポーツ安全保険への加入を推奨
中学生・保護者のニーズの二極化(「楽しく気軽に」vs「専門的に上達したい」) 体験教室・レクリエーション型から競技重視型まで多様な地域クラブを登録制度で認定

成果・効果

令和5年のアンケート調査では、中学生・保護者の半数以上が「どちらでもよい」と回答し、移行の必要性が十分に周知されていないことが判明しました。これを受けて市教育委員会は説明会の充実を方針に盛り込み、現状の課題を住民に丁寧に伝えることを優先しました。令和7年度からは段階的に休日の部活動が縮小されており、地域クラブ登録制度の運用が開始されています。令和8年3月時点では7区すべてで認定クラブリストが公開されており、政令市としての広域にわたって受け皿整備が着実に進んでいます。

出典

→ 原文: 北九州市教育委員会「北九州市部活動地域展開推進計画」(北九州市公式ウェブサイト)

→ 参考: 教育家庭新聞「2027年9月までに土日の部活動を地域に移行〜北九州市」

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

北九州市の推進計画で特に注目されるのは、アンケートで「どちらでもよい(半数以上)」という回答が多かった事実をそのまま計画書に記載し、「現状の課題の周知が不十分」と正直に認めたうえで施策を設計していることです。改革への抵抗を「問題」として扱うのではなく、「説明が足りていない」と捉えて説明会充実を対策に盛り込む姿勢は、住民との合意形成を重視した誠実なアプローチといえます。

また、生徒ニーズが「楽しく気軽に参加したい」と「専門指導で競技力を伸ばしたい」に二極化しているという調査結果に対し、特定種目に限定しない多様な地域クラブ(体験教室・レクリエーション・シーズン制・アーバンスポーツ)を登録制度で認める方針は、一つの地域クラブが多様なニーズを一括受け入れしようとする自治体が陥りがちな「画一化の罠」を回避するものです。

令和9年9月の完全休日廃止まで2年間で63校すべてに十分な受け皿を構築できるかが最大の焦点です。人口93万人の大都市は多様な受け皿が存在する反面、区ごとの格差が生まれやすく、各校の生徒が徒歩・自転車圏内でアクセスできる地域クラブが確保されるまでには相当の調整が必要です。会費の保護者負担については、具体的な支援策(所得連動型補助・就学援助との連動)を早期に確定することが参加率の維持につながります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

北九州市のアンケートは対象者2万5千人超・回答率56〜70%という大規模なものでしたが、「移行の必要性を数字で示す」「ニーズの二極化を見える化する」という目的は小規模自治体でも転用できます。Microsoft Formsなどの無料ツールを使った在籍生徒・保護者全員へのWebアンケートで同等の情報収集が可能です。また、北九州市が採用した「段階的な休養日の拡大」モデルは、受け皿整備に時間が必要な地域でそのまま活用できます。年度ごとに「第○週は完全休養」という数値目標を設定することで、学校・保護者・地域クラブそれぞれの準備スケジュールが立てやすくなります。

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