トップ 事例を探す 愛知県 【事例】愛知県春日井市の部活動地域展開 ─ 400名超の指導者確保と市内全校一斉移行モデル
全種目 👥 30万人以上 🏫 大規模校(300人以上) 📍 愛知県

【事例】愛知県春日井市の部活動地域展開 ─ 400名超の指導者確保と市内全校一斉移行モデル

公開:2026.04.28 更新:2026.05.17
この記事でわかること

・市内全16校を令和5年10月に一斉移行し、学校間の不公平感を解消した
・指導者410名のうち290名が現職教師の兼職兼業で「顔なじみ」指導体制を実現
・参加会費ゼロ・謝金1,600円/時間を市が全額負担する財政モデルを採用

自治体名 愛知県春日井市
人口規模 約30万9千人(2023年時点)
中学校数 16校
運営形態 市教育委員会直営(総括コーディネーター配置)
対象競技 全種目(170クラブ活動中)
保護者負担額 参加会費:徴収なし(指導者謝金は市負担:1,600円/時間)

取り組みの概要

愛知県春日井市(人口約31万人)は、令和5年10月から市内全16校を対象に地域クラブ活動を一斉スタートさせました。市教育委員会が運営主体となり、元中学校長を「総括コーディネーター」として配置。指導者確保に向けて約500名を対象に任用面談を実施し、最終的に410名を確保しました。このうち290名は現職教師による兼職兼業であり、生徒の顔なじみの指導者が地域クラブでも継続して関わるという体制を整えました。令和5年度から5年間は市が運営主体として活動を継続する方針です。

特徴的な取り組み

  • 全校一斉移行:試験的な一部校での実施ではなく、市内16校を同時に移行することで、学校間の不公平感を解消し、教員の部活動指導負担を一気に軽減しました。
  • 兼職兼業教師の積極活用:確保した410名の指導者のうち290名(約71%)が現職の学校教師です。本務の授業業務と地域クラブ指導者業務を明確に切り離しながら、生徒にとって安心できる顔なじみの指導体制を実現しました。
  • 総括コーディネーターの配置:元中学校長を総括コーディネーターに任用し、教育現場の感覚を持つ管理職経験者が全体調整を担うことで、学校・保護者・指導者間のコミュニケーションを円滑化しました。
  • 指導者謝金の市一括負担:参加生徒からの会費徴収を行わず、指導者への謝金(1,600円/時間)は市が全額負担。経済的事情にかかわらず全ての生徒が参加できる仕組みを確保しました。

課題と解決策

課題 解決策
短期間での大規模指導者確保 約500名へ個別に任用面談を実施し、条件・不安点を丁寧に確認。結果410名を確保。
教師の兼職兼業に伴う本務への影響懸念 地域クラブ指導と学校業務を制度上明確に分離し、時間管理・労働条件を整備。
全校一斉移行による運営の複雑化 総括コーディネーターが各校・各クラブとの調整役を担い、170クラブの一元管理を実現。

成果・効果

令和5年10月の開始時点で170クラブが活動中となり、市内全ての中学生が地域クラブ活動に参加できる環境が整いました。教員にとっては部活動指導義務がなくなり、授業準備や生徒指導への集中が可能になりました。保護者からは「子どもが同じ先生と一緒に活動できて安心」という声が寄せられており、特に兼職兼業教師の継続指導が生徒・保護者双方の不安軽減につながっています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 運動部活動の地域移行等に向けた実証事業事例集」(2024年)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域移行・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

春日井市は令和5年10月、市内全16校を対象に地域クラブ活動を一斉スタートさせた。一部校から段階的に移行する方式を取らず全校同時移行を選択したことで、学校間の不公平感を解消し、教員の部活動指導負担を一挙に軽減している。市教育委員会が運営主体となり、元中学校長を「総括コーディネーター」として配置することで、170クラブの運営・調整を一元管理する体制を構築した。令和5年度から5年間にわたり市が運営責任を担うことを明示しており、移行初期の混乱を行政が責任を持って吸収する姿勢が体制設計全体に反映されている。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

春日井市は短期間での大規模な指導者確保に向け、約500名に対して個別の任用面談を実施した。条件や不安点を丁寧に確認するプロセスを経て最終的に410名を確保し、そのうち290名(約71%)が現職の学校教師による兼職兼業となっている。学校業務と地域クラブ指導を制度上明確に分離することで本務への影響を最小化しつつ、生徒にとって安心できる「顔なじみ」の指導体制を実現した。指導者への謝金(1,600円/時間)は市が全額負担し、参加会費を徴収しない財政モデルにより、経済状況にかかわらず全生徒が参加できる環境を整えている。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

春日井市モデルの核心である「全校一斉移行」「兼職兼業教師の大規模活用」「総括コーディネーター配置」という体制設計は、規模を縮小することで他自治体にも応用可能だ。参加会費ゼロ・謝金の市一括負担という財政構造の再現は中小規模自治体には容易でないが、元管理職経験者を総括コーディネーターに起用する手法はコスト対効果の高い施策として参考になる。財源面では国の補助金活用を前提に段階的な会費導入を組み合わせるモデルが現実的な選択肢となる。

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