トップ 事例を探す 鳥取県 【事例】鳥取県境港市の部活動地域展開 ─ 協議会31回で県内唯一の認定クラブ7団体・休日は地域移行と平日の拠点校方式を並行
全種目 👥 1~5万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 鳥取県

【事例】鳥取県境港市の部活動地域展開 ─ 協議会31回で県内唯一の認定クラブ7団体・休日は地域移行と平日の拠点校方式を並行

公開:2026.09.08 更新:2026.09.08
この記事でわかること

・令和4年の2クラブから令和7年の6種目へ、休日活動を段階的に地域団体へ移した経過
・鳥取県内で唯一となる市町認定クラブ7団体を実現した協議会31回の合意形成
・休日は地域移行・平日は令和8年度から拠点校方式という二段構えの設計

自治体名 鳥取県境港市
人口規模 約3万2千人(2026年時点)
中学校数 3校
運営形態 市教育総務課が主管。休日は地域団体へ移行し、平日は拠点校方式を準備(市町認定クラブ7団体)
対象競技 陸上、軟式野球、ハンドボール、卓球、サッカー、剣道
保護者負担額 令和7年7月時点で未公表

取り組みの概要

境港市は令和3年度に協議会を設置し、令和7年7月時点で通算31回の連絡協議会を重ねてきました。鳥取県教育委員会がまとめた「部活動の地域展開に係る取組状況一覧」(令和7年7月時点)によれば、県内の他自治体が協議会9〜11回程度であるのに対し、境港市の31回は突出しています。

取り組みは令和3・4年度の「地域運動部活動推進事業」の受託から始まりました。令和4年4月に陸上・軟式野球の2クラブで休日の部活動の地域団体への移行を開始し、同年9月にハンドボールを加えて3クラブに拡大。令和5年度には卓球・サッカーが加わって陸上・軟式野球(2クラブ)・ハンドボール・卓球・サッカーの体制となり、令和7年度には剣道(2クラブ)も加わりました。市町認定クラブは7団体で、県内8市町村の中で認定クラブ数が最多です(鳥取市・米子市・倉吉市はいずれも0)。

市は令和5年7月に推進計画を策定済みで、令和6年度からはサッカー・剣道で拠点校方式を実施しています。令和7年度の目標として、令和8年度に開始する拠点校方式について生徒・保護者への周知と、令和8年度から14年度までのロードマップ(推進計画)の作成・地域への周知を掲げています。

特徴的な取り組み

  • 種目を段階的に増やす移行設計: 令和4年4月に陸上・軟式野球の2クラブで開始し、同年9月にハンドボール、令和5年度に卓球・サッカー、令和7年度に剣道と、年度ごとに種目を積み増しています。一斉移行ではなく、受け皿が確保できた種目から順に休日活動を地域団体へ移す進め方です。
  • 協議会31回という合意形成の密度: 令和3年の協議会設置以降、連絡協議会を令和3年6回・令和4年10回・令和5年8回・令和6年7回と継続的に開催しています。令和7年6月には令和8年度の拠点校方式部活動に係る連絡協議会を2回開催しており、制度変更のたびに関係者間で調整する運用が定着しています。
  • 休日は地域移行、平日は拠点校方式という二段構え: 休日の部活動は地域団体へ移行する一方、平日は生徒数・部活動加入者数・教職員数の減少を踏まえ、各校の部活動数を徐々に減らすことを目標に令和8年度から拠点校方式を開始する準備を進めています。休日と平日で異なるアプローチを取る設計です。
  • コミュニティ・スクール(CS)を人材確保に活用: 令和7年度の方向性として、各スポーツ協会や3校区のCS(コミュニティ・スクール)へ協力を求め、活動を受け入れ可能な団体を1つでも増やす方針と、CSを活用した指導者の人材バンク構築を掲げています。学校運営協議会の枠組みを受け皿探しに接続する発想です。
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課題と解決策

課題 解決策
生徒数・部活動加入者数・教職員数がいずれも減少し、各校が単独で部活動を維持できない 令和8年度から拠点校方式の部活動を開始し、各校の部活動数を段階的に減らす。令和8〜14年度のロードマップを作成して地域へ周知する
休日活動を受け入れられる地域団体が不足している 各スポーツ協会と3校区のコミュニティ・スクールに協力を求め、受け入れ可能な団体を1つでも増やす
指導者の確保が続かない コミュニティ・スクールを活用した指導者の人材バンクを構築する
制度変更が保護者・地域に伝わりにくい 拠点校方式の開始について生徒・保護者へ事前周知し、部活動の意見交換会・検討会にPTA会長(役員)が参加する。令和9年度以降の市の部活動の在り方は小学校長へも周知する

成果・効果

令和7年7月時点で確認できる実績は、①休日の部活動を地域団体へ移行した種目が陸上・軟式野球(2クラブ)・ハンドボール・卓球・サッカー・剣道(2クラブ)に拡大したこと、②市町認定クラブが7団体に達したこと、③協議会を通算31回開催し推進計画を令和5年7月に策定済みであることです。

鳥取県内で市町認定クラブを有するのは、県教育委員会の一覧(令和7年7月時点)に掲載された8市町村のうち境港市のみで、鳥取市・米子市・倉吉市はいずれも認定クラブ数0となっています。県内で最も早く認定クラブの体制を整えた自治体という位置づけです。

出典

→ 原文: 鳥取県教育委員会「部活動の地域展開に係る取組状況一覧」(令和7年7月時点)

→ 掲載元: 令和7年度湯梨浜町立湯梨浜中学校部活動在り方検討会(湯梨浜町教育総務課)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

境港市の際立った特徴は、協議会を4年間で通算31回開催している点です。県内の他市が9〜11回である中でこの頻度は突出しており、種目が1つ増えるたび、方式が1つ変わるたびに関係者を集めて調整してきた記録と読めます。認定クラブ7団体という県内唯一の実績は、この積み重ねの結果として理解するのが妥当です。地域展開は要綱や計画を作れば動くものではなく、受け皿団体・学校・保護者の三者調整を何度繰り返せるかで進度が決まることを示す事例といえます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

境港市の「休日は地域団体へ移行、平日は拠点校方式」という二段構えは、休日と平日で担い手が変わるため、生徒から見ると同じ競技でも曜日によって所属や指導者が異なる状態が生じます。移植する場合は、大会参加時にどちらの主体で登録するのか、指導者間の情報共有をどう行うのかを設計段階で決めておく必要があります。また同市は令和8〜14年度という7年間のロードマップ作成を令和7年度の目標に掲げており、拠点校方式で部活動数を減らす計画を長期スパンで地域へ示す姿勢は、統廃合への不安を和らげるうえで参考になります。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

推進計画を令和5年7月に策定し、市町認定クラブ7団体という形で受け皿を制度上に位置づけている点は、県内でも先行しています。一方、県教育委員会の一覧(令和7年7月時点)では保護者負担額が公表されておらず、費用面の持続可能性は外部から評価できません。指導者確保をコミュニティ・スクール頼みで進める設計は、CSの活動量に左右される構造的な弱さも含みます。令和8〜14年度のロードマップ公表時に、費用と指導者確保の見通しが示されるかが評価の分かれ目になります。

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