トップ 事例を探す 茨城県 【事例】茨城県神栖市の部活動地域展開 ─ 直営型・自主運営型ハイブリッドモデルで令和6年9月に全8校一斉休日移行・65名の指導者の半数超が20〜30代
全種目 👥 5~10万人 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 茨城県

【事例】茨城県神栖市の部活動地域展開 ─ 直営型・自主運営型ハイブリッドモデルで令和6年9月に全8校一斉休日移行・65名の指導者の半数超が20〜30代

公開:2026.05.03 更新:2026.05.03
この記事でわかること

・神栖市が令和6年9月に全8校一斉で休日部活動を地域クラブ活動へ移行した「直営型+自主運営型」ハイブリッドモデルの仕組み
・65名の指導者のうち20〜30代が63%を占める若手構成の実現と教職員兼職兼業の活用
・バレーボール遠隔リモート指導の試行と波崎地区での指導者不足への対応、今後の課題と展望

自治体名 茨城県神栖市
人口規模 約9.4万人(93,640人)
中学校数 8校(生徒数2,349人)
運営形態 かみす地域クラブ統括管理団体(民間事業者委託)による直営型+地域団体・民間事業者が自主運営する自主運営型のハイブリッド
対象競技 軟式野球・サッカー・ソフトテニス男女・バレーボール女子・バスケットボール男女・卓球男女・剣道・柔道(直営型)+陸上・カヌー・少林寺拳法・日本舞踊等(自主運営型)
保護者負担額 直営型: 年会費1,000円+月会費2,000円(令和6年11月受益者負担開始)

取り組みの概要

茨城県神栖市は人口約9.4万人、公立中学校8校に2,349名の生徒が在籍し、76部活が活動しています(令和6年度)。少子化による生徒数の減少に伴い学校単位での部活動維持が困難になっていることを背景に、令和5年9月に中学校の休日の部活動種目を地域クラブ活動へ移行する推進計画を策定しました。

「かみす地域クラブ」として、市が設置した「かみす地域クラブ統括管理団体事務局」(令和6・7年度は民間事業者へ業務委託)が直営型クラブを運営し、地域団体・民間事業者が自主運営する自主運営型クラブを認証する二本立てのハイブリッドモデルを採用。令和6年9月に神栖市内の全中学校で一斉に休日の部活動の地域クラブ活動を開始し、11月から受益者負担(年会費1,000円・月会費2,000円)を開始しました。

令和7年1月21日時点で、直営型クラブ11種目・自主運営型クラブ10団体が活動し、指導者65名(うち20〜30代が58%)が各クラブを支えています。神栖地区(4校)と波崎地区(4校)の2地区に分かれた広域市内での活動を実現しています。

特徴的な取り組み

  • 直営型と自主運営型の「ハイブリッドモデル」で部活種目も部活外種目も一元管理:直営型では軟式野球・サッカー・ソフトテニス・バスケットボール・卓球・剣道・柔道など部活動と同じ種目を地域クラブとして継続。自主運営型では陸上(神栖ジュニア陸上クラブ・42名参加)・カヌー・少林寺拳法・日本舞踊など部活動にない種目も展開。統括管理団体が認証することで安全性を担保しつつ、多様な参加機会を提供しています。
  • 指導者65名の半数超が20〜30代という若手構成:令和7年1月21日時点で、全65名の指導者のうち20代23名(35%)・30代18名(28%)と20〜30代が63%を占めています。教職員の兼職兼業の許可を得た教員も指導者の約半数を占め、地域と学校の連絡窓口として機能。若手指導者の参画が持続的な地域クラブ活動への期待を高めています。
  • 令和3年度から6年かけた段階的移行と令和6年9月の全校一斉試行:令和3年1月の小学6年生対象説明会から検討を開始し、令和4年度に多層アンケート(生徒・保護者・教職員・競技団体・スポーツ少年団)を実施。令和5年度に2種目(軟式野球=直営型・剣道=自主運営型)のモデル事業で両モデルを検証し、令和6年9月に全8校・全種目一斉の試行へと段階的に移行しました。
  • バレーボール遠隔リモート指導による指導者不足の補完:波崎地区でバレーボール指導者不足が続いているため、指導技術を有する指導者と連携しながら遠隔リモート指導を全4回実施。地域や環境条件に左右されないスポーツ体験機会の確保に向けた検証を行い、ICTを活用した指導の可能性を探っています。

課題と解決策

課題 解決策
直営型の運営が民間事業者委託のため、行政組織内に運営ノウハウが蓄積されない 今後の持続性を踏まえ、地域団体が運営の主体となる体制への段階的な移行を検討。市スポーツ協会や総合型地域スポーツクラブとの連携強化を通じ、地域全体で子どもたちを支える協力体制を構築する
波崎地区のバレーボール指導者不足・参加者が女子1名のみ 遠隔リモート指導(全4回実施)で指導機会を補完。神栖地区との合同開催または地域クラブ活動の合併を検討中
受益者負担(月会費2,000円)の開始に伴う保護者理解と入会手続きの問い合わせ増加 説明会を複数回開催し動画を活用した丁寧な情報提供を実施。統括管理団体スタッフを増員して入会手続き・会費管理の問い合わせに対応
技術レベルや目標の差がある複数校の生徒が混在する指導上の課題 年代別対応や個別指導と大会前のチーム指導のバランスを工夫。指導者研修(eラーニング・対面)を継続し、多様な生徒への対応力を向上

成果・効果

令和7年1月21日時点で、直営型11種目・自主運営型10団体が活動し、全ての種目で必要な指導者数(計65名)が確保されました。指導者の20代・30代が全体の63%を占め、持続的な地域クラブ活動への発展が期待されます。令和6年9月に全8校・全種目の休日部活動が地域クラブ活動へ移行し、部活動にはないカヌー・陸上(42名参加)・日本舞踊・少林寺拳法などの種目が生徒の選択肢に加わりました。

生徒からは「他校の生徒と交流できる」「いろいろな先生に刺激を受けられる」「練習の幅が広がった」という評価が聞かれており、学校の枠を超えた交流と多様な学びの場として機能しています。段階的な導入と説明会・動画等を活用した丁寧な情報提供により、受益者負担への保護者の理解も徐々に得られています。

出典

→ 原文: 令和6年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業 事例集|スポーツ庁・文部科学省

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

神栖市のハイブリッドモデルが優れているのは「直営型で安定を確保しつつ、自主運営型で多様性を開放する」という役割分担の明確さです。行政が直営で運営する種目は、指導者確保・会場調整・安全管理まで統括管理団体が一括して担う安心感があります。一方、自主運営型では地域に既存のスポーツ団体(陸上クラブ・スイミングクラブ・武道団体等)が自らの強みを活かして参入できます。両者を一つの「かみす地域クラブ」として統合することで、単一の窓口で多様な活動選択肢を提示できる点が特徴的です。

指導者65名のうち20〜30代が63%という構成は、地域クラブ活動の持続可能性を考える上で重要な指標です。部活動の指導者が高齢化・引退することで指導体制が崩れる問題が各地で起きていますが、神栖市では若年層指導者の参画が実現しています。教職員の兼職兼業により学校との橋渡し機能も担える体制も評価できます。指導者の年齢構成を追跡することが、地域クラブの持続可能性を測る有効な指標の一つとなります。

遠隔リモート指導の実験も注目点です。地方都市や農村部では特定競技の指導者が地域内に存在しないことが多く、ICTを活用したリモート指導が解決策になり得ます。神栖市のバレーボール遠隔指導(全4回実施)は試行段階ですが、通信環境・指導技術・参加生徒の反応等について蓄積されたデータが全国の参考になります。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

神栖型のハイブリッドモデルを導入する際の課題は「統括管理団体の組成」です。神栖市は民間事業者に業務委託していますが、中長期的には行政が主体となる運営への移行も検討されています。最初から地域団体(スポーツ協会・総合型クラブ等)に委託する場合は、委託先の運営能力・人員・財務基盤を事前に十分に確認することが重要です。また、自主運営型クラブの認証基準を設定する際は、ハードルが高すぎると参入団体が少なく、低すぎると質の確保が難しくなるため、「最低限の安全基準+成果報告義務」という設計が参考になります。

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