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全種目 👥 1万人未満 🏫 中規模校(150〜300人) 📍 青森県

【事例】青森県三戸町の部活動地域展開 ─ 体育協会内に6種目のジュニアクラブ・地域スポーツ教室の中体連登録で大会出場を実現

公開:2026.10.02 更新:2026.10.02
この記事でわかること

・人口約9千人の町が体育協会内ジュニアクラブで6種目の休日地域展開を進める仕組み
・地域スポーツ教室を中体連登録し、部活動にない競技でも大会出場を実現した方法
・指導者謝金を町予算で負担する場合の実費水準と、町自身が示す持続可能性の課題

自治体名 青森県三戸町
人口規模 約8,860人(令和6年度成果報告書時点)
中学校数 1校(全生徒192人・部活動10部)
運営形態 三戸町体育協会(協会内にジュニアクラブを設置)
対象競技 柔道、卓球、サッカー、スケート、相撲、剣道
保護者負担額 会費0円(スポーツ安全保険料 年800円のみ)

取り組みの概要

三戸町は人口約8,860人、中学校は三戸中学校1校のみという小規模自治体です。急速な人口減少と少子高齢化が進むなか、将来にわたり生徒がスポーツに親しむ機会を確保するため、令和元年に「部活動の在り方に関する検討委員会」を設置し、休日の運動部活動から地域展開を進めてきました。令和5年度からは、部活動指導員を配置している柔道・卓球・サッカー・スケートの4種目について、三戸町体育協会内に「ジュニアクラブ」を設置し、休日の受け皿としています。令和6年度はスケート部員が不在だったため3種目での活動となりましたが、新たに相撲・剣道の2種目を加え、合計5クラブが活動しました。

特徴的な取り組み

  • 部活動指導員を軸にした指導の一貫性: 平日の部活動に配置している部活動指導員(町の会計年度任用職員・3名)がジュニアクラブの指導の中心を担い、平日と休日で指導が分断されない体制を構築。これに加えて体育協会員14名が指導に参加しています。卓球は総合型地域スポーツクラブの指導者、サッカーは企業の一般従業員、柔道は警察官OBで競技団体の指導者と、地域の多様な人材を起用しています。
  • 地域スポーツ教室の中体連登録で大会出場を実現: 学校部活動には存在しない相撲・剣道の2種目は、地域のスポーツ教室として活動してきた団体を体育協会内のジュニアクラブとして中体連に登録。これまで参加できなかった中体連主催大会への出場が可能になり、中学校の壮行式にもジュニアクラブの生徒が部活動の生徒と同じように参加しました。
  • 指導者謝金は町予算で負担・参加費は保険料のみ: ジュニアクラブの指導者謝金(令和6年7月〜2月実績で柔道110,635円・卓球17,440円・サッカー47,960円)は町が予算を確保して支払い、参加者の負担はスポーツ安全保険料の年800円のみとしています。
  • 小中一貫教育を活かした小学6年生の受け入れ: 町の小中一貫教育を背景に、小学6年生もジュニアクラブに参加可能とし、中学校の活動へのスムーズな接続を図っています。令和6年度は柔道で小学生1名が中学生と同じ指導者のもとで活動しました。
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課題と解決策

課題 解決策
部活動指導員を配置していない部活動の地域展開が進まない 体育協会と協議し、各単位協会への協力要請で複数指導者を確保。設置可能と思われる競技に絞った体制整備を進める
部活動指導員個人への負担集中 単位協会に協力を要請して複数の指導者を確保し、指導者間の連絡を密にして指導の平準化を図る
活動場所の確保と使用料負担 休日の地域クラブ活動を「学校の部活動に準じた活動」と位置づけ、学校施設・公共施設の優先利用や使用料減免を実施
町外から参加する場合の移動手段 現状は保護者送迎に依存。広域自治体で協力した輸送手段の確保を今後の課題として明記

成果・効果

令和6年度のジュニアクラブ登録者は柔道9名・卓球1名・サッカー12名・相撲10名・剣道7名でした。報告書では、部活動指導員が中心となって指導に当たったことで「指導の一貫性が保たれ、競技力の向上と生徒の特性を理解した指導体制を確保することができた」と評価しています。特に、地域のスポーツ教室として活動してきた相撲・剣道を中体連に登録し、これまで参加できなかった中体連主催大会に出場できるようになったことを「大きな成果」と総括しています。剣道では町外から2名の参加があり、参加したい全ての子どもを受け入れられたことが競技団体や指導者のモチベーション向上につながったとしています。一方で、町は費用面の持続可能性も率直に試算しており、既存部活動の年間保護者負担が約5,000円であるのに対し、平日も地域展開した場合のジュニアクラブ保護者負担は月額5,000円ほどになるとして、「低廉な受益者負担を求めたうえで、少なからず行政の支援が必要」との見解を示しています。推進計画・ガイドラインは令和7年度中の策定を予定しています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和6年度 地域スポーツクラブ活動体制整備事業 成果報告書 青森県三戸町」(PDF)

監修・執筆:部活動地域展開ナビ
部活動の地域展開・総合型地域スポーツクラブの設立支援を専門とするメディア。全国の自治体・スポーツ協会・学校関係者を対象に、制度設計から運営実務まで実践的な情報を発信。文部科学省・スポーツ庁の公式資料および自治体の一次情報をもとに記事を作成しています。

💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント

この事例の核心は「移行の逆転の発想」にあります。多くの自治体が既存部活動をどう地域に移すかで悩むなか、三戸町は部活動に存在しない相撲・剣道の地域スポーツ教室を中体連登録することで、生徒の大会出場機会をむしろ増やしました。部活動の枠組みに縛られず「この町で子どもが続けられる競技は何か」から逆算した設計です。また、部活動指導員が平日・休日を通して同じ生徒を指導する体制は、人口9千人規模だからこそ成立する一貫性のモデルであり、指導者の属性(警察官OB・企業従業員・総合型クラブ指導者)の多様さは小規模町村の人材発掘の好例といえます。

📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策

最大のハードルは財源です。三戸町は指導者謝金を全額町予算で負担しているため参加費が保険料のみで済んでいますが、町自身が「平日も展開すれば月5,000円程度の保護者負担になり持続可能な運営は困難」と試算しています。導入を検討する自治体は、実証段階から受益者負担と公費のバランスを住民に示しておくことが不可欠です。また、体育協会を受け皿にする方式は、協会内の単位団体に指導体制の実態差があるため、三戸町のように「設置可能と思われる競技に絞った体制整備」から始め、全種目一斉を狙わないことが現実的です。

📊 ガバナンスと持続可能性の評価

運営は体育協会、謝金予算と保険集約は教育委員会と役割分担が明確で、小規模自治体らしい簡素なガバナンスです。一方、財源は町予算への依存度が高く、町も持続可能性への懸念を報告書で率直に認めています。推進計画が未策定(令和7年度中に策定予定)である点も含め、現段階は「先行実践が制度を引っ張る」フェーズであり、計画策定と受益者負担設計が今後の焦点になります。

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