【事例】静岡県富士市の部活動地域展開 ─ 協議会と懇話会の二重構造で実証モデル事業を実施、基本方針を策定
・富士市が採用する協議会・懇話会の二重構造による方針策定プロセスの設計
・「部活動地域連携・地域移行つうしん」定期発行による情報公開の仕組み
・実証モデル事業を基本方針策定に繋げるエビデンス重視の進め方
| 自治体名 | 静岡県富士市 |
|---|---|
| 人口規模 | 約24万6千人(令和5年国勢調査) |
| 中学校数 | 15校(市立) |
| 運営形態 | 地域移行協議会・検討懇話会の二重構造による計画策定型 |
| 対象競技 | 全種目(実証モデル事業の対象種目は基本方針に基づき設定) |
| 保護者負担額 | 調査時点で未公表 |
取り組みの概要
富士市は静岡県内の先進自治体(静岡市・掛川市・焼津市・沼津市等)の取り組みを参照しつつ、「富士市立中学校部活動地域移行協議会」と「富士市立中学校部活動地域移行検討懇話会」という二重の組織体制を整備して地域展開を推進しています。令和7年度には実証的モデル事業を実施し、その成果と課題を踏まえた「富士市部活動地域連携・地域展開推進に関する基本方針」を策定しました。市は令和7年度ごろから「部活動地域連携・地域移行つうしん」を発行し、市民への情報発信を継続的に行っています。
特徴的な取り組み
- 協議会と懇話会の二重構造: 「富士市立中学校部活動地域移行協議会」が正式な方針決定機関を担い、「検討懇話会」が現場レベルの具体的な課題を吸い上げる役割を分担。意思決定の質と速度を両立させる設計。
- つうしんによる継続的な情報公開: 「富士市部活動地域連携・地域移行つうしん」を定期的に発行(創刊号〜第17号以降)し、実証事業の進捗・課題・今後の方針を市民・保護者・教職員に透明性高く周知。
- 基本方針の策定と実証モデル事業: 令和7年度の実証的モデル事業を経て基本方針を策定。実証なき計画ではなく、現場での試行結果を政策に反映させるエビデンス重視の進め方を採用。
課題と解決策
| 課題 | 解決策 |
|---|---|
| 15校・約2万5千人規模での均質な移行体制構築 | 協議会・懇話会の二重構造で方針策定と現場調整を並行し、学校ごとの実情を政策に反映 |
| 保護者・地域住民への理解醸成 | 「つうしん」を定期発行(第17号以降も継続)し、最新情報をオープンに提供して信頼関係を構築 |
| 実証モデル事業で得た知見の全市展開 | 基本方針の策定を通じて実証成果を制度化し、全校への水平展開の基盤を整備 |
成果・効果
令和7年度の実証的モデル事業が完了し、その知見を基にした基本方針の策定に至っています。継続的に発行する「つうしん」は第17号以降も続いており、富士市の地域展開に向けた姿勢と進捗が市民に届く仕組みが整っています。静岡県内では静岡市(2027年9月に平日・休日同時転換予定)や掛川市・焼津市が先行事例として参照でき、富士市はこれらの知見を吸収しながら本格展開の準備を進めています。
出典
→ 原文: 部活動の地域連携・地域移行(富士市公式ホームページ)
💡 部活動地域展開ナビの視点:ここがポイント
富士市の「協議会+懇話会」の二重構造は、地域移行政策を進める上での組織設計として参考になります。協議会が「何をするか(方針)」を決め、懇話会が「どうするか(実務)」を検討するという役割分担は、大きすぎず小さすぎない規模の都市で特に機能します。意思決定と現場課題の吸い上げが分離されることで、「方針は決まったが現場が動かない」という典型的な失敗を防ぐ効果があります。
また、「つうしん」という広報手段は、地域展開における保護者・地域住民の不安を解消するための低コストかつ効果的なツールです。第17号以上の継続発行は、単発の説明会では伝わりにくい「プロセスの見える化」を実現しており、信頼醸成に大きく貢献しています。他の自治体でも、ニュースレター形式の定期発行は検討に値する手法です。
📋 他地域が導入する際の想定ハードルと解決策
二重構造の組織体制は「会議が増える」というデメリットを伴います。これを解決するには、協議会と懇話会の開催頻度・議題・参加者を最初から明確に設計することが重要です。例えば協議会は年3〜4回(方針決定)、懇話会は月1〜2回(実務調整)という形で差をつけると、役割の重複や参加者の疲弊を防げます。つうしんの発行についても、編集作業を最小化するためテンプレート化し、担当者一人でも継続できる仕組みにすることが持続可能な広報の条件です。