トップ 事例を探す 大阪府 【事例】大阪府堺市の部活動地域展開 ─ 堺の資源を活かした産学官連携モデルと学校施設無償活用
全種目 30万人以上 大阪府

【事例】大阪府堺市の部活動地域展開 ─ 堺の資源を活かした産学官連携モデルと学校施設無償活用

📅 公開:2026.04.18 🔄 更新:2026.04.18
自治体名 大阪府堺市
人口規模 約81万人(2023年時点)
中学校数 43校(公立)
運営形態 民間委託(堺市教育スポーツ振興事業団・JFFシステムズへの業務委託)
対象競技 ソフトテニス、柔道、バレーボール、軟式野球(令和5年度モデル事業)
保護者負担額 参加会費0円(モデル事業期間中)、スポーツ安全保険料800円/年(生徒1人あたり)

取り組みの概要

堺市は人口約81万人を擁する大阪府の政令指定都市です。少子化による生徒数の減少と、中学校教職員の時間外在校等時間が年間568時間59分(ひと月あたり46時間46分)にのぼるという深刻な実態を受け、令和4(2022)年6月から関係課による検討を開始しました。「第3期未来をつくる堺教育プラン(R3〜R7)」で示される「子ども」「学校」「地域」の3つの領域を柱に据え、令和5(2023)年10月から4つのモデル校でソフトテニス・柔道・バレーボール・軟式野球の地域クラブ活動実証事業を開始しています。令和7(2025)年度末を初期目標として全市一斉の取り組み開始を目指し、令和8〜12年度には休日部活動を全43校で地域移行する計画です。

特徴的な取り組み

  • 学校施設開放事業を活用した無償利用: 地域クラブ活動を学校施設開放事業の登録団体として位置付け、生徒が普段と同じ校内施設を無償で使用できる仕組みを整備しました。堺市立学校の施設開放に関する規則を改正し、教育長決裁で特別に認める枠組みを構築しています。五箇荘中学校では小学校体育館を活用したモデルも展開し、活動場所の広域化と参加対象者の拡大を検討しています。
  • 堺ゆかりの民間企業・プロスポーツ団体との連携: 「堺市の資源活用」をキーワードに、日本製鉄堺ブレイザーズ(バレーボール教室)、堺シュライクス(軟式野球指導教室)、アスリートサポートジャパン(指導者講習会)、ルネサンス(アスレチックトレーナーによるトレーニング指導)、ららぽーと堺スタジアムコート(会場提供)など、堺市にゆかりのある団体と幅広く連携しています。
  • 大学教授による総括コーディネーター体制: 関西大学神谷教授(企画担当)および桃山学院教育大学中村教授(研修担当)を総括コーディネーターに迎え、「本市の現状等」→「改革推進期間に取り組む2本の柱」→「初期目標(R7末)」という総論原案を策定するなど、学術的知見に基づいた推進体制を構築しています。
  • 大規模アンケートによるニーズ把握: 令和5年5〜7月に小学6年生(回答率62.9%)・中学1〜2年生(同76.4%)・保護者(同19.8%)・教職員(同61.7%)を対象に広範なアンケートを実施しました。保護者の67%が地域クラブ活動への移行を肯定し、活動費については1,000円未満のニーズが高いことが判明しています。

課題と解決策

課題 解決策
地域移行後の活動場所の確保 学校施設開放事業を活用して地域クラブ活動を登録団体として位置付け、校内施設を無償使用できるよう施設開放規則を改正
複数機関が関わる事務連絡の煩雑化 関係団体(大学・民間企業等)が相互につながる情報共有体制を構築し、市教委が中間調整役として機能する仕組みに変更
民間指導者に対する生徒・保護者・学校の信頼確保 モデル事業開始前にJFFシステムズ指導者を外部指導者として学校部活動に参加させ、保護者説明会にも同席させることで信頼関係を段階的に構築
持続可能な財源確保(現在は無償) 令和6年度以降に受益者負担の段階的導入(保険料等)を検討し、企業版ふるさと納税や有料化イベントも財源として活用する方向で検討中

成果・効果

令和5年10月に開始したモデル事業では、参加生徒の82%(「とてもよかった」46%+「よかった」36%)、保護者の83%(「とてもよかった」25%+「よかった」58%)が練習を肯定的に評価しました。また、堺シュライクスによる野球指導教室では生徒の64%が「指導者の教え方はとても分かりやすかった」と回答しています。教職員アンケートでは中学校顧問の時間外在校等時間が年間568時間超と課題が明確化されており、地域移行による教員の働き方改革が急務であることが共有されています。令和7年度末を目標とした全市一斉の取り組み移行に向けて、モデル事業の知見を着実に積み上げています。

出典

→ 原文: スポーツ庁「令和5年度地域スポーツクラブ活動体制整備事業(大阪府堺市)」

→ 参考: 堺市「部活動の取組等」